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洋書レビュー3★亡霊Belovedの正体は?

 

Hiya!

 

 

 

レビュー三冊目は二冊目に続き、黒人文学です!

 

 

 

 

Beloved by Toni Morrison 

 

 

 

 

著者のToni Morrisonの本はなかなか読みにくい本が多く

Belovedは特に最初から??が飛んでいました(完全に私目線ですが) 

ですが、Morrisonの本でも特に人気がある一冊でもあります。

 

大学で読まないといけなかった一冊で、無理くり読み進めました!

最初は訳わからなさすぎて辛かった(笑) 

 

学校で読まないといけない本が難しくて辛い時は、

私なりのトリックありますので、これは次回紹介します。

 

 

Theme:母親の愛

Genre;Ghost story, historical story 

 

Story : 

The autobiography of Miss Jane Pittman と同様、黒人奴隷時代を背景にした小説で、

著者はとてもよく知られている有名人です。

私が読んでいた2019年の夏にお亡くなりになりました。

読んでた最中だったので、イギリスの田舎町で車のラジオを聴きながら

驚いたのを覚えています。 

 

一つ前の黒人文学、Janeの自叙伝はこちら👇 

ai-en-fr.hatenablog.com

 

 

 

 

本の内容ですが、奴隷解放後に祖母、母、娘、息子2人で農園から逃げてきた家族。

しかし、ある日、どこからか現れた女の子の亡霊がこの家に住みつきます。

その子の名前はBeloved。この女の子がきてから奇妙なことばかりが起き、

息子二人はきみわるがり家をでます。

 

 

この奇妙な娘の正体はセサ(母)が昔、自らの手で殺した娘です。

そのお墓に刻んだ"Beloved"という墓碑銘の名前からきています。


テーマにもあげていますが、この本はBelove, Sethe, Denver、

おばあちゃんのBaby Suggsの4人の女性の”母と娘”の関係を細かく描いています。

 

 

現代の感覚では母親が深い愛情を持ったが故に、自分の娘を殺すというのは

理解できないと思います。しかし、この時代Fugitive Slave Actという法律があり

黒人は白人にみつかれば農園へ強制的に戻され、拷問にあっていました。

 

大切な娘が自分のような

奴隷の人生を送るくらいなら、自らの手で命をうばった方がいい

というセサなりの愛の形から取った行動でした。

 

 

本はナレーター目線で書かれているもの、一人称で自叙伝のように書かれているものなど

いろいろあり、基本的には最初から最後まで同じ主語で書かれていますが、

本書は20〜23の3チャプターはBelovedの目線、Sethesの目線、そしてDenverの目線で

一人称で書かれていて、とてもおもしろいスタイルの小説です。

(Stream of consciousness👈テストに出ます!)

 


それ以外にもBelovedはおもしろいシンボルがいくつかあります。

家の住所は124番。この3番が抜けているのには意味があります。

 

他にもSetheの背中にある奴隷の際にムチで打たれた傷跡

著者Toni Morrisonの強いメッセージが込められています。



 

ちなみに、著者のToni Morrisonはこの物語は彼女がとある日に読んだ記事から

インスパイアされたと語っていました。そしてその記事は娘を守ろうという

深い愛情から娘を殺したという女性の記事だったそうです。

 

 

では、私の好きなQuoteを!

 

 

Clever, but schoolteacher beat him anyway to show him that definitions belonged to the definers - not the defined.” (p155)

 

『そうね、非道だわ。でもスクールティーチャーは結局彼を痛めつけたわ。何が正しいかを定義するのはそれを定義した人の価値観のみで、された方の気持ちなんてなんの意味も持たないってことを示していたわ。』

 

説明:何が人道で、何が正しいかなんて言うことは白人と黒人の間には存在しなかったの時代です。AA(African-American)は一切人間として扱われていなかった当時、白人の言うこと、決めたことが絶対だった時代を物語る一節。

 

 

 

 

 

 

Belovedには男女の愛を表す素敵な文もありますが、

今回は黒人の歴史に関する文学のレビューなので、

この一節を選びました。

 

 

少し読みにくいBelovedでしたが、文学が好きな方には

ぜひ読んでみてほしい一冊です。黒人の歴史書としてもとてもいい本です。

 

 

みなさんのオススメもぜひ教えてください★

 

 

 

 

 

 

 

洋書レビュー2★Jane Pittman + BLM/黒人の歴史について)

 

Hiya!

 

 

 

今回はBlack Lives Matterも最近ニュースでしていて、

日本でも今までより黒人の歴史を調べた人が増えたかな?と思い

この二冊を。大学の3年間は、黒人の歴史、文学、言語学、社会言語学

学んできましたが、そのアメリカ文学でのオススメ二冊がこちら★

 

 

 

 

 

The Autobiography of Miss Jane Pittman by Ernest J. Gaines 

 

 

 

 

 

Theme:   奴隷・奴隷の栄光, 母親・家族愛・人間であるということ

 

 

 Story :

 

南北戦争も終結に近づいた頃、アフカリカン・アメリカンの奴隷として産まれた

主人公Janeの生涯を描いたもので、『ジェーン ピットマンの自叙伝』

というタイトルですが、著者はJane本人ではなく、Ernest J, Gainesという作家です。

 

 

彼がJaneにインタビューして書き下ろした一冊なので実際にはフィクションです!

(著者本人もインタビューでそう答えています。)

 

 

 

この本のテーマは奴隷たちの栄光という大きいものもありますが、

個人的にはは家族愛だと思います。特に女性、母の強さですね。


Janeは奴隷の時のストレスで子供が産めない体になってしまったものの、

奴隷主から逃げ出した際に一緒にいたNedという男の子を息子として育てあげます。

(彼のお母さんは途中で見つかって二人の目の前で殺されてしまいました。)

 

血の繋がりこそない二人ですが、親子としての強い繋がりは本の中でも

たびたび表現されています。

彼女の女性、母親としての内なる強さは読んでいてとても勇気づけられます。

 

 

 

 

奴隷解放宣言がされた後もJaneはアメリカ南部のプランテーション(農園)に住み続けます。

 

解放宣言がされたからといって、黒人の生活はすぐには変化していきませんでした。

それは黒人の元奴隷だった人たちの気持ちも同じくです。

嬉しい反面、とても困惑した気持ちもあったと思います。

 

本書は奴隷解放後の物語ですが、奴隷解放を訴え行動したNed、Tee Bob、Jimmyは

みんな白人に殺されてしまします。

 

 

このことから 奴隷解放後も、アメリカ国内での黒人に対する社会での扱われ方うきぼりになっています。

 

 

 

『人間が人間らしく生きる』ことが普通ではなかった時代のことを考えることは

今、生きていて、なかなかないのではないでしょうか?

 

でも、奴隷が普通だったこの時代は、考えられない拷問や労働を強いられていて、

この本にもその当時の辛い経験が描かれています。

 

この本は、読んでいてJaneに感情移入して泣けるほどでした。

 

 

 

 

 

今回選んだQuoteはこちらです。

 

In closing I wish to thank all the wonderful people who were at Miss Jane's house through those long months of interviewing her, because this is not only Miss Jane's autobiography, it is theirs as well.

 

『最後に、インタビューの期間にJaneの家でお会いしたみなさんに感謝申し上げます。だって、この本はJaneさんの自叙伝ではなく、みなさん(アフリカン-アメリカン全員)の自叙伝なのですから。』

 

 

説明:これは著者であるEarnestが最後に残した文です。

この本はJaneの人生を描いたものですが、本の中で描かれている彼女の壮絶な人生は、この当時の黒人にとってはそれほど珍しいものではなく、本当にたくさんの黒人奴隷が酷い目にあってきました。だからこそ、自叙伝ではありますがこれは他の AA(African-american)の人生も語っているんですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。少しだけ最近のニュースについて。

 

現在起きているBLMのデモについては、私個人、思うことがたくさんあります。

簡単に、"白人警察が黒人の一般人を殺した!人種差別だ!”というシンプルな

ものではありません。その表面だけをみて誰が人種差別だ!誰が悪いと

決めつけるのは浅はかだと私は思います。もちろん、あれはやりすぎでした。

 

しかし、何人の人がフロイド(今回亡くなった黒人の一般人)が前科があったことを

きちんと理解していますか?そして、彼がなぜ今回警察に止められたのかまで

調べた人がいますか?

 

 

1619年に一番最初のアフリカ人がアメリカに連れてこられた時から

2020年の今になってもまだ取り除けていないこの大きな溝があります。

 

それにはきちんと理由があります。

 

歴史や事件の背景を知るというのは、両方のことを中立な立場で調べ、

きちんと理解することだと思っています。

 

私がこういう風に考えるのは、3年間アフリカン・アメリカンの歴史を

いろんな視点から学んだからこそです。

 

これはまた今度別記事でかけたらいいなと思います!

 

 

 

 歴史を一から調べるのは大変ですが

本から入るとわかりやすいかもしれません。

この本はそんなに難しくないのでぜひ機会があれば!